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有名な辛口香水レビュー本和訳版の最新作いよいよ登場。今回はニッチ全盛の現代香水メインです。

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プロフィール

ドギー本澤

Author:ドギー本澤
男性用・女性用問わず、毎日いろんな香水の香りをかいでは、連想をしています。そんな思いをショートストーリーにしたり、レビューしたりしています。

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香水ドラマストーリー

あなたはまだ出会っていないかも知れない。

この世には、「信じられないくらいいい香り」「思わずのけぞるようなすばらしい香り」が存在する。
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目に見えない香りにこめられた、秘めやかな意味や記号。
それは、ときとして言葉よりも明確に、音よりも鋭敏に、相手のハートにダイレクトに届くメッセージとなる。

「香水のレビュー」では、古今東西の名香を中心に、男女問わずおすすめの香水を自分の目線で批評しています。
「香り」をモチーフに、日常のささいな心模様、シーンをショートドラマストーリーにして書いています。
評価は、毎週投稿している「@コスメ」の口コミと同じように、☆の数(1~7点)にしています。

☆(1)私には似合わないみたい。おすすめしません。
☆(2)うーん、私にはピンと来なかった。
☆(3)普通。可もなく不可もなく。
☆(4)まずまず。なかなかよくできてます。
☆(5)よかった!自分にぴったり!リピートしたい!
☆(6)おすすめ!最近のHit!他の人にも教えたい!
☆(7)最高っ!超おすすめ!みんなもぜひ使ってみて!

評価は自分の独断と偏見ですのでご了承ください。また☆7は、よほどの作品でない限りつけません。

あなたは 本当に好きな香りに もう出会っていますか? 
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パルルモアドゥパルファム ユヌトンドゥローズ

ユヌトンドゥローズ 甘く華やかなダマスクローズの香りは、人の心をしっとり落ち着かせる効果があるという。

パルル・モア・ドゥ・パルファムのユヌ・トン・ドゥ・ローズは、そんなダマスクローズのふんわりフルーティーな香りがする穏やかなバラの香水だ。

2018年、伊勢丹サロンドパルファンで日本初上陸したパルルモアドゥパルファムは、名調香師ミシェル・アルメラックを父にもつベンジャミン・アルメラックが、2016年にフランスで立ち上げた香水メゾンだ。ハウスパフューマーとして父のミシェルを迎え、パリの有名なマレ地区に店舗を構える新進気鋭のブランド。

ミシェル・アルメラックといえば、複数の香料会社を渡り歩き、名香と呼ばれる作品をいくつも創った凄腕調香師。クロエEDP、グッチのラッシュ、ディオールのファーレンハイトなど、彼が創った作品名を挙げれば、知っている方、愛用されている方も多いはず。

「オリジナリティがあり、シンプルでまといやすい作品を」という創業者の願いに沿ってミシェルが調香するパルルモアの香りは、決して奇をてらうことなく、全体的にスッキリした透明感ある作品が多い印象。

ユヌ・トン・ドゥ・ローズ、直訳すると「1トンの薔薇の花」。この作品はその名のとおり、薔薇の香りをメインにした香水だ。ユヌは女性名詞の前につける不定冠詞。由来はブランドの紹介文に紹介されている次のフレーズに依るものだろう。

「髪に降りかかる花びら。漂うバラの香り。蒸留というマジックによって1トンもの花びらか ら取り出されるのは、たった数グラムのエキスです。」

どの香水メゾンにも必ずあるバラの香り。優雅で高貴で「バラはそれだけで天然の香水」とセルジュ・ルタンスも言うほど、深みをもった香りを放つ。では、パルルモアドゥパルファムのローズは、いったいどんな香りだろうか?

ユヌトンドゥローズをスプレーする。最初に立ちのぼるのは、やや青くスッキリしたグリーンな葉の香りだ。わずかなパチュリ、カルダモン様の清涼感も感じられる。イメージは朝。まだ朝もやの残る庭園。露の玉をのせたバラの緑の葉。

2分もせず、柔らかなバラの花の香りがしてくる。洋ナシのコク、ベリー系のわずかな甘さといったフルーティーなファセットをもつバラ香だ。香り立ちはとても穏やかで、さながらバラの花にそっと顔を近づけた時のように自然な感じ。これが本当に香水だろうか?そう思うほどマイルド。この清々しい自然なバラの香りがしてきたらミドル。そしてこのミドルが驚くほど長く続く。しっとりした淡いバラの香りが約8~9時間ほど香り続ける。

ラストは少しだけムスキーな温かさになってドライダウン。ただ、つけて8~9時間ほどしてもバラの香りが残っているので、天然バラ香料だけでなく人工香料も使っているだろう。ローズムスクのようなクリーンソーピーな香りで終息してゆく。

全体的に見ると、バラの香りが85%、パチュリが5%、ムスクが10%で構成されているような香り。ほぼバラなれど香り立ちは控えめ。そしてバラの香りには、これといって際だった特徴がない。むしろそれが特徴かと思うくらい、甘さも華やかさもシャープさも重たさも平均的。ただ、とてもロングラスティングだ。これには驚いた。淡くてソフトなバラの香りが、いつまでもつけたところで香り続ける。ふとした瞬間にふわりと、鼻をくすぐるようにずっと。

してみると、同じミシェル・アルメラックがかつてラルチザンで出したヴォルールドローズ(バラ泥棒)と香料比率が真逆の作品のような印象を受ける。バラ泥棒はキリッと苦味ばしったパチュリが90%、その中にバラが1輪だけ咲いているようなイメージ。対してユヌトンドゥローズは、わずかなパチュリを背景に、ふんわり生バラの香りがずっと続く香水だ。
薔薇の花びら
ユヌトンドゥローズを付けていて一番感じられるのは、心の平安だ。何も無理しない。何者とも比べない。あるがまま、なすがままにゆったり時の流れに身をまかせて、穏やかに過ごしたい。不思議とそんな気持ちにさせてくれる香りだ。

1トンのバラの花びら、そこから得られるたった数グラムのバラのエキスは、時間をかけて蒸留され、ゆっくり抽出されたものだ。ともすると、心にもそんな時間は必要なのかもしれない。日常を離れて、夢を見たり、新たな世界を開いたりしてみる静かな時間。そんなとき、心はゆるやかに澱を沈め、人としての深みを増してゆくはずだ。あわてず、騒がず、周囲のノイズに惑わされることなく。

もしも今見えている世界が灰色なら、しっとり心に効く香りで夢を見るといい。まずは心をバラ色にしよう。新しいバラ色の夢を描こう。

ユヌトンドゥローズ。数えきれないバラの花びらにうずもれて。

香水のレビュー(満点は☆7)
☆☆☆☆★★★(4点)
香水にさほど詳しくないという方も、「クロエEDPの香り」と言えば、「ああ、あの香りね」と香りを思い浮かべることができるだろう。香水業界にはよくある話で、香りは有名になってもそれを作った人はほとんど知られていない。その最たる人物の一人がミシェル・アルメラックかもと以前思っていた。ファーレンハイトの大胆なレザーウッディな香り、そしてあのトム・フォードを唸らせたグッチのラッシュの鼻につくほどの人工的なフローラル。現役の頃の彼の調香はいつもどこか挑戦的で前衛的な「ひとさじ」があったように感じている。そんなミシェル・アルメラックのすごさを改めて世間に知らしめたいという思い、同時に、今度は自分の作りたいように香りを自由に創造してほしいという息子たちの願いによってパルルモアはブランディングされた。ミシェルの妻が「朝摘みの一番かぐわしい薔薇の香りがほしいわ」と言ったことで生まれたというユヌトンドゥローズ。同じミシェルがラルチザンで手掛けた薔薇泥棒は、スパイシーなパチュリの中にたった1輪だけ咲いた薔薇というコントラストが印象的だったが、このユヌトンでは、満開の薔薇園にひとさじだけの土っぽいパチュリが効いている。シンプルながらご婦人への慎ましい愛情のこもった迷いのない作品だと思う。調香に要した回数もたった8回なのだから。


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トバリ トワイライトロマンス

トワイライトロマンス 日本人が挙げる「世界三大美女」の一人、小野小町をイメージしたとされる香り。平安時代の六歌仙にして、その出自、容姿ともいまだ謎に包まれており、ミステリアスな美女として古今東西さまざまな逸話が語り伝えられている小野小町。

トバリはこのトワイライトロマンスを2019伊勢丹サロンドパルファムでデビューさせ、それ以後も伊勢丹新宿店限定にしている。50mlで13200円(税込)。まさに伊勢丹新宿シグネイチャーといった作品。ところがこの出来がすこぶるいい。

トバリはトワイライトロマンスを次のように紹介している。

「黄昏に染まる花々が織りなす“雅”の情景」
”雅やかな白檀、薄明かりの中に咲く金木犀と薄紅色の薔薇の美しさ。淡いロマンスのように心揺さぶるジャポニズムフローラルウッディの香り。”

結論から言うと確かにそんな香りだ。プラスティックっぽい固さがあるトップ。そこからクリーミー&フルーティーにラクトン系の甘い香りが広がる展開はキンモクセイ香水の特徴を表していてしっとり美しい。わずかにピンクローズの気配もする。ただそれだけではない。これは、とても切ない悲しみに満ちた孤独な香りだ。

トワイライトロマンスをプッシュする。瞬間、広がるのは甘い杏(あんず)の香り。そこにプラスティックやビニールを思わせるわずかなペトロノートが、キン!とはじくような冷たさで感じられる。甘くてフルーティーなトップに、影を落とすような金属的なスパイシー。この光と影のコントラストが明瞭なトップ。

3分ほどするとキンモクセイの主成分といっていいウンデカラクトンのフルーティーで甘い香りとクリーミーさが感じられるようになってくる。このミドルがすばらしい。先頃トバリの社長である橋本氏が某TV番組で最高のベルガモット香料を求めてイタリアに飛ぶ姿を拝見したが、このトワイライトロマンスに使われているキンモクセイも、もしかしたら中国南部、桂林にある世界的に有名なキンモクセイ天然香料生産の工場を訪れて交渉したのではないかと思ったほど。それほど印象的でまろやかなキンモクセイの香りだ。キリアンのグッドガールゴーンバッドのオスマンサスも軽やかなれど、天然っぽい複雑さと深みではこちらの方が上。

「赤黄色の金木犀の香りがしてたまらなくなって なぜか無駄に胸が騒いでしまう帰り道」
思わずフジファブリックの歌の一フレーズを口ずさんでしまう切ない夕暮れの香りだ。

この妙なるキンモクセイの香りがメインとなってミドルがずっと続くが、実際にはわずかにパウダリーなイオノンやアップルやピーチっぽいラクトン系も含まれているクリーミーフルーティーな香りだ。そして底の方にトバリ初期作品に多く使われていた酸味のあるウッディ、Hidden Japonism834もほんのわずか感じられる。(スモークフラワーとつけ比べ)

ただ、ラストは思いのほか早く訪れる。甘いキンモクセイフルーティーな香りが1~2時間で消失し、その後はスッと力の抜けた淡いサンダルウッドと酸味ある乾いたウッディ香で終息。それは夕闇の中、部屋に灯りをともして焚きしめた香木の香り。平安時代、わずかな灯火の下、自分のために幾夜も通い続けてくれる思い人を待つ宵を思わせるラスト。今夜もあの人は来てくれるだろうか?そんな思いが儚い煙のように消えてゆく。全体で3~4時間程度。

ウォーターリフレクション以降、トバリは新たなステージに入ったように思う。日本香堂とコラボした平安時代の香りを思わせるHidden Japonism834からいったん離れ、より日本らしさと天然香料がもつパワーを追求する方向に進んでいる気がする。トワイライトロマンスはその試金石だろうか。選びに選んだよい香料をメインに配置し、他の香料はそれを支える脇役に徹する。そんな強い思いがこの作品には感じられる。
黄昏どき
夕暮れ空。山際を黒く染め、残照の赤が消えかかる頃。遠く近くたなびく霞。空の上方から、藍色の夜のとばりが下り始める。静かに忍び寄る孤独の気配。不意に胸が苦しくなる刹那。西の空にまたたく宵の明星。重ねてしまうあの人の面影。衣に焚きしめた赤黄色の花の香りだけが、夕闇の中、自分の存在を知らしめる印のように漂う。

かぎりなき思ひのままに夜も来む 夢路をさへに人はとがめじ  小野小町

”あなたへのかぎりない思いを抱える私に今日も一人の夜がおとずれ、私もまたこの思いのままにあなたの元へ参りとうございます。夢の旅路なら誰に咎められることもないでしょうから”

夢で逢うことさえ願う孤独と悲哀。人の夢の儚さ。思い人を待つ心にかかる夕月の色。

あの人に逢いたい。狂おしく思い焦がれる夕べにたなびく香り、トワイライトロマンス。

香水のレビュー(満点は☆7)
☆☆☆☆☆☆★(6点)
夕暮れどき。ふっと風が止まる。映画「君の名は」でも、「誰そ彼どき」「逢魔がとき」と語られていた黄昏どきは、海風が陸風に変わる刹那、風がとまる「夕凪のとき」でもある。その時間はもしかしたら、人の心も足を止めてしまう時間なのかもしれない。トバリの作品には、そんな「変わりゆく刹那」や日本的な情景の趣深さが語られているものが多い。香りだけならとてもふんわりしていい香りなのに、どうしようもない悲恋が背景にあるスモークフラワーにも、この作品に通ずる「人恋しい時間の切なさ」が語られているように思う。トワイライトロマンスは、夕暮れの残照の赤黄色。その一番まばゆく一日を終える、燃えるような夕日の色に染め上げたキンモクセイの香りが使われている。個人的な話だが、秋はめっぽう切なくていけない。だからこの香りは、秋に咲くキンモクセイの香りをたなびかせるけれど、秋には使えない。どうしようもなく人恋しくなってしまって、人の道すら外れてしまいそうになるからだ。小野小町は悲恋の歌人だ。彼女は秋田出身とされているが、全国いたるところに彼女をまつったお堂や社があり、諸説さまざまだという。そんなミステリアスな彼女の横顔に、もの淋しい夕暮れの情景と悲しい片思いの詩が心につきささる。トワイライトロマンスを試すなら、秋の夕暮れはやめた方がいい。切ない夕暮れ時にはもってのほかだ。涙が出るくらい優しくてフルーティーで、好きな人を思ってしまうからだ。

このエントリーのタグ: ☆☆☆☆☆☆6

ディオール ラッキー

ラッキー 最初はたくさんいる友達の1人だった。特にめだつ人でもなかった。けれど、気がつくといつもそばにいて笑っていた。そしていつのまにか、かけがえのない人になっていた。

そういう友達や恋人がいる人はとても幸せだ。そして、ディオールのラッキーは、どこかそんな大切な人を思わせる香水だ。

メゾンクリスチャンディオールを訪れると、いつも気分が華やぐ。清潔感あふれる白い店内、そこには色とりどりの香水ジュースで満たされたシリンダーボトルが美しく並んでいる。

たいてい最初に試香するのはサクラだ。そこからローズ系に移行する。ラコルノワール、ローズカブキ、ローズジプシーあたりを嗅ぎ比べする。ピンクジュース系からのグラデ。その頃合いで話しかけてくる店員さんに「全部ローズなのに結構違いますね」なんて話をちょっとする。すると詳しい方ならそこからいろんな事を教えてくれる。その話に耳を傾けながら、次々と他のボトルを試していくのがパターンだ。ただ、いつも通り過ぎてしまう香水があった。

ラッキーだ。

なぜラッキーはいつもスルーしてしまうのか?

1つはその淡いグリーン系カラーのせいかなと思う。色とりどりのジュースの中、なぜか淡い緑のジュース系には手が伸びにくい。不思議だ。それでも、テカシミアはティーのスッキリした香りで鼻をリセットしたくて必ず手に取る。ただラッキーは「うん、ま、今日はいっか」になっていた。なぜか?

それは、初めてラッキーを試したときにあっさり香りを覚えてしまったからだと思う。フルーティーでグリーンでジャスミンが強めのスズラン香。「これは洋ナシスズランだ!」そう鼻と脳にインプットされた。名香ディオリッシモの濃厚なスズランとは桁違いに淡くてスッキリしている。「なぜ今さらこんなに淡いスズランを?」そう思った。それ以来、ボトルを見かけてもすぐに香りが脳内再生され、試さなくてもわかる的なスルーを繰り返すことになった。

ところが。

それ以後、MCDのボトルを何本か所有してみて驚いた。MCD香水の中で、実際最もよく使うのはそのラッキーだ。店頭ではいつもスルーしていた香水。淡くてわかりやすくて、フルーティーなスズラン香水、ラッキー。

ラッキーをつけるときは2~3プッシュする。MCDの香りの中でも「淡い」スタンスにある香りだからだ。つけた瞬間、まず華やかなホワイトフローラルがふんわりと広がる。ジャスミン、オレンジフラワーをメインに、わずかにチュベローズとイランイランの陰影も。

そしてすぐにフルーティーなファセットがフローラルを包みこんでくる。青リンゴのような洋ナシのような、人によってはメロンのような香りだ。この香りはかなりウォータリーで、花の香にみずみずしさを与えている。濃厚なホワイトフローラルのエッジをスッキリグリーンウォータリーで溶かしているイメージだ。

そしてこれがラッキーの全て。MCDの香りは基本シングルノートなので、このまま減衰する。ときどき、間違ったように苦めのグリーンがメンズっぽく出ることはあるけれど、基本的に「グリーンフルーティー>ホワイトフローラル」というシンプルなアコードのまま続いてドライダウン。時間はやや短めで、3~4時間程度。もはやスズランのオーデコロンといった印象。なんかずっと昔、北海道で買ったすずらん香水を思い出すまろやかな感じ。

でも

だからよく手が伸びるのかもしれない。そう思う。スズラン香はグリーンでシャープなエッジとふんわりホワイトフローラルという相反する二面性をもつので、スッキリさと柔らかさ、どちらがほしいときにも重宝する香りだ。オンにもオフにも使える。

なんかシャキッとしたいな、そう思ったらラッキー。ちょっと優しい気分になりたい。そう思ったときもラッキー。確かに、気付けばいつもそばにいてくれる友達のようだ。派手ではないけれど、フランクで、優しくて、一緒にいて気持ちが穏やかになる。
スズラン
例年5月1日は、親しい友人や愛する人に小さなスズランの花束を贈る「スズランの日」として、フランスでは昔から親しまれている。スズランの花言葉は「幸福の訪れ」「純粋」「繊細」だ。スズランをもらった人にはすばらしい幸福が訪れるという。

花はディオール。ディオールの花といえばスズラン。それほどまでにクリスチャン・ディオールに愛された花の香りスズラン。名香ディオリッシモの花束感とは違うけれど、調香師フランソワ・ドゥマシーは、創業者ディオールの心を香りにこめて、この幸運のお守りを世界の人々に届けたかったのだろう。

「いつもありがとう。あなたに幸福が訪れますように。」

スズランの花一輪のラッキーチャーム。ディオール、ラッキー。

香水のレビュー(満点は☆7)
☆☆☆☆☆★★(5点)
最初にMCDで嗅いだ時は、本当にあっさりと「あ、シンプルなスズランだ」で終わっていたから、評価的には☆4くらいだった。けれど実際によく手が伸びてよく使う。そしてそのどんなときも自分を邪魔しない。スッキリしてフルーティーでほんのりグリーンな爽やかさをもった使いやすい香り。そこで評価が上がった香水の1つ。何度か書いているように、スズランは香料を抽出できない花なので、昔からジャスミンや他の香料を用いて調合される香りだ。MCDはラ・コレクシオン・プリヴェという最高級ラインから間口を広げ、どちらかというとジョー・マローンのような気軽さと重ね付けしても何ら問題ないライトでシングルな香りにシフトしたのが成功しているように思う。その中で不人気作品を廃盤にして、常に新作品を投入して市場の好みの動向を探る。このへんはゲランのアクアアレゴリア的な展開でもある。それが見事にあたっている感じがして、ブランド全体に活気を与えているように思う。まさにラッキー。当分、ディオールの快進撃は止まらない。なんてラッキー。


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ブルガリ ブループールオム

ブルガリ ブループールオム 家にいる時間が多くなった。世界は目に見えない物であっという間にブルーになる。そう思うことが多くなった。

せっかく家にいるのだから、心安らかに過ごし、自分らしくありたいと強く思うようになった。だからできるだけ穏やかで、柔らかい香りをそばに置こうと思って、久しぶりにブルガリのブループールオムの香りを嗅いでみた。そして驚いた。そこには、湯上がりの赤ちゃんをそっと包みこむ柔らかなタオルやベビーパウダーのような優しさが満ちあふれていたからだ。

2001年リリース。調香師はアルベルト・モリヤス。30mlで4千円前後。香水沼の方は「安い」というだけで手にとらない方もいるかも知れない。だが香水は安くていい香りならそれにこしたことはないと思う。

ブループールオムをプッシュする。強めのアルコールに混じって最初に立ちのぼるのは、透明感あるジュニパーの爽やかな香り。それはジントニックを口にしたときの風味そのもの。クリアーでスッキリした苦味だ。すぐさま低音でじんわりと響くスパイシーミックスが感じられる。ジンジャーのホットな辛み、カルダモンの鼻に抜けていくフレッシュな感じとタバコフラワーの甘さ。それらがシームレスに出てきて、トップから多層かつ複雑な展開。クレジットにはないが、ジンジャーを効果的に見せるレモンの香りもしている。

久々につけたが、このトップはさりげなく凝った作りだ。シトラスの酸味、タバコフラワーの甘さ、ジュニパーの苦味、カルダモンの清涼感。それらがフレッシュかつ爽やかに広がるイメージだ。さすがアルベルト・モリヤスといったところか。五味をまんべんなく配置しつつ、温かみのある香料とクールさを感じさせる香料のバランスをきっちりとっている。ただ、全体な温度としてはややクールなイントロだ。

5分後、レモン様シトラスが減衰する。するとそれまで見えていなかったこの香りの本質ともいうべき、クリーミーでパウダリーなサンダルウッドとムスクのベースがみるみる明らかになってくる。それは男性が湯上がりの汗止めなどに用いるタルカムパウダーや赤ちゃん用のベビーパウダーそのものといった風合い。そんなむせかえるようなパウダリーベースが出てくる。柔らかで、まろやかで、粉粉(こなこな)している香り。

このクリーンな石鹸の香り、そしてそれを包み込むような甘くパウダリーな香りのミックスが3~4時間ほど続く。ラストはほんのり香ばしいミルキーサンダルウッドと冷たく甘いムスク。上品で柔らかいヴァニラ様ウッディのラストでとてもいい。

ひと嗅ぎして「この香水、ただの石鹸の香りじゃないか」そう言う方は多いだろう。確かにクリーンでクリーミーで優しい香りがする。自分も昔はそう思った。そしてタカをくくった。これだったらボディソープで代用できるじゃないか、と。

バカだった。甘かった。それ以上にやはりモリヤスはすごかった。どこにでもありそうな石鹸&ベビーパウダー的な香りを、さりげなく上質かつエレガントに仕上げる職人技がこのブループールオムには感じられる。フレッシュで、クリーンで、パウダリー。この香水は、ブルーというにはあまりに白く柔らかい。

女性用に作られたブルーEDPが廃盤となった今、こちらで代用する女性も多いと聞く。トップがややクールスパイシーな点と、タバコフラワーの甘い香りが濃厚な点さえ許容できれば、十分女性にも似合うパウダリーフレグランスだと思う。

白いブランケット 一年を通していつでも使え、デイタイムもナイトタイムにも似合う香水。何より、自分が自分でいられるために、どこにもギアを入れていないニュートラルな自分に寄り添う香りとして、肩肘はらずにいつでも使える気安さがいい。

家で過ごす時間が長くなった。こんなときは、なるべくゆったりした気分で過ごしたい。ブルーな気分はあえてブルーなままでいい。真っ白でまっさらな自分をじっくり見つめて、周囲のノイズに心乱されないよう、心安らかにゆるやかに。ブループールオムはそんなとき、柔らかくなめらかで、ふんわり肌触りの白いパイル地のシーツのように心を包みこんでくれる。

ブルーに最も似合う色は、もしかしたら白なのかもしれない。そんなことを思った。

限りなく白に近いブルー。ブルガリブループールオム。

香水のレビュー(満点は☆7)
☆☆☆☆☆★★(5点)
ずっと求めているのはため息が出るほどいい香りだ。値段なんて関係ない。もちろん値段の高い香料を使えば高くなるだろうけれど、香水の価格にはいろいろ上乗せされているものがあるから一概にそうとも言えない。ブループールオムはずっと昔から日本中のどんなコスメショップにもあるど定番な香水だ。しかも価格がとても安く3000円程度で買える。しかしだからこそ見向きもしなかった時期がある。当時は「冬のソナタ」のあの方が使っているとか噂が先行し、女性がこのブループールオムの香りを買いに走ってるなどという話も聞かれたが、そんなふうに話題になっても「別にどこにでもありそうな粉っぽい石鹸の香りじゃないか」とかなり冷ややかな評価をしていた自分がいた。ところがそれから時が経ち、たくさんの有名な香水や、目ん玉が飛び出るような価格の香水の香りもたくさん知るようになって知ったのは、「実はブループールオムのような香りはなかなかない」という事実だった。まったくあれだ。幸せの青い鳥の話だ。兄弟が探しに探しても見つからなかった青い鳥は、実は最初から身近にいたという話。名香はさらりと昔から身近なところにあった。ブルーだけに。

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