FC2ブログ

世界香水ガイド3(予約)

有名な辛口香水レビュー本和訳版の最新作いよいよ登場。現在予約受付中。ネット決済後、到着は10月下旬以降のよう。すでに殺到している模様。お早めに。

最新記事

アロマライフ

アロマ柔軟剤ガチレビューやホームアロマグッズレビューがすごい!よくここまで企業に遠慮せず、ABC判定したなあと感心。香水はありませんが、大人気ボディミスト系の評価はあり。これは必見!

アロマライフ (晋遊舎ムック)

新品価格
¥980から
(2013/7/15 11:49時点)

楽天おすすめ香水

フォトグラフィー世界の香水

「フォトグラフィー世界の香水:神話になった65の名作」こちらは、写真にこだわって、ボトルの美しさなども紹介しています。

フォトグラフィー世界の香水: 神話になった65の名作

新品価格
¥3,570から
(2013/6/20 21:13時点)

月別アーカイブ

ザ・ボディショップ

MENU

HOME
香水のドラマ
Agnes.b
Azaro
Body fantasy
Burberry
Calvin Clein
Chanel
Demeter
Dior
Diptyque
D&G
Etat libre d'orange
Ferragamo
Fueguia 1833
Givenchy
Gucci
Guerlain
Hermes
Jeanne Arthes
Maison Margiela
Nest
Palm Tree
L'artisan parfumeur
Shiseido
YSL
香水のレビュー
アクア・ディ・パルマ
アックス
アトリエ・コロン
アニエスb
アニック・グタール
アバクロンビ―&フィッチ
アユーラ
アラミス
アランドロン
イヴ・サンローラン
イッセイミヤケ
エイト&ボブ
エスティー・ローダー
エムシーエム
エルメス
カルトゥージア
カルバン・クライン
キリアン
キャシャレル
キャット・ヴォン・ディー
キャロン
グッチ
クリード
クリーン
クリニーク
ケイコ・メシェリ
ケイスケ・ホンダ
ゲラン
コム・デ・ギャルソン
ザ・ディファレント・カンパニー
ザ・ボディショップ
サルヴァトーレ・フェラガモ
サンタ・マリア・ノヴェッラ
資生堂
ジバンシィ
ジミー・チュウ
シャネル
ジャン・パトゥ
ジョー・マローン・ロンドン
ジョルジオ・アルマーニ
ズーロジスト
セルジュ・ルタンス
ダビドフ
ティエリー・ミュグレー
ディオール
ディプティック
トミー・ヒルフィガー
トム・フォード
ドルチェ&ガッバーナ
ニナリッチ
バーバリー
パームツリー
パルファムドニコライ
パルファン・ロジーヌ
バレード
ヒーリー
ピュアディスタンス
フエギア1833
プラダ
フランシス・クルジャン
フローリス
ペンハリガン
ヴェルサーチ
フラゴナール
ブルガリ
フレデリック・マル
ボンドナンバーナイン
ミラー・ハリス
ミルコ・ブッフィーニ
モルトンブラウン
ヨウジヤマモト
ラッシュ
ラルチザン・パフューム
ランセ
ランバン
リキッドイマジネ
ルイ・ヴィトン
ロシャス
ロリータ・レンピカ
4711
香りの雑記帳

access counter

プロフィール

ドギー本澤

Author:ドギー本澤
男性用・女性用問わず、毎日いろんな香水の香りをかいでは、連想をしています。そんな思いをショートストーリーにしたり、レビューしたりしています。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示

全記事表示リンク

カレンダー

09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

天気予報


-天気予報コム- -FC2-
RSS

香水ドラマストーリー

あなたはまだ出会っていないかも知れない。

この世には、「信じられないくらいいい香り」「思わずのけぞるようなすばらしい香り」が存在する。
David Photo Studio5 a0001_009348.jpg
目に見えない香りにこめられた、秘めやかな意味や記号。
それは、ときとして、言葉よりも明確に、音よりも鋭敏に、相手のハートにダイレクトに届くメッセージとなる。

「香り」をモチーフに、日常のささいな心模様、シーンをショートドラマストーリーにして書いています。
「香水のレビュー」では、古今東西の名香を中心に、男女問わずおすすめの香水を自分の目線で批評しています。
評価は、毎日チェックしている「@コスメ」の口コミと同じように、☆の数(1~7点)にしています。

☆(1)私には似合わないみたい。おすすめしません。
☆(2)うーん、私にはピンと来なかった。
☆(3)普通。可もなく不可もなく。
☆(4)まずまず。なかなかよくできてます。
☆(5)よかった!自分にぴったり!リピートしたい!
☆(6)おすすめ!最近のHit!他の人にも教えたい!
☆(7)最高っ!超おすすめ!みんなもぜひ使ってみて!

評価は自分の独断と偏見ですのでご了承ください。また☆7は、よほどの作品でない限りつけません。

あなたの香りは、だれに、どんなメッセージを届けていますか?





スポンサーサイト



トムフォード ソレイユブラン

ソレイユブラン ハワイに行きたい。亜熱帯化した高温多湿の日本を脱出して、真っ白な太陽が照りつけるワイキキビーチでのんびりしたい。パームツリーの木陰、ホテルのオープンテラスで、フルーツてんこもりの金魚鉢みたいな大きなグラスにストローを何本も差して、トロピカルカクテルをゴクゴク飲みたい。バンズではさめないダイナミックなハンバーガーに悪戦苦闘しながらむしゃぶりついて、口の周りについたパイナップル混じりのソースを指で無造作に拭きとってなめたい。爽やかなオフショアにそよがれて、西の空が燃えるオレンジに染まるまでビーチでゆったりくつろぎたい。

トムフォードのソレイユブランをつけていると、いつもそう思う。心はオアフ島の白い浜辺へひとっ飛びだ。

ソレイユブラン・オードパルファム。「白い太陽」の意。まばゆい夏の陽射しを思わせる、トム・フォードによる真夏のデイタイム・フレグランス。2016年発売。ディオールのハイヤーエナジーやバーバリーのブリットなどを手掛けたナタリー・グラシア・セット調香による作品。

トム・フォードのプライヴェートブレンド唯一の真っ白なボトル。この白ボトルは通常の黒ボトルよりも中身の液量が見えにくい。照明の光を近くに当てるなどするとやっと見える感じで、チェスの駒からインスパイアされたこのボトルの美しさを上手く引き立てているように思う。これなら使っていくうちに液量が減っても、美しいボトルの外見をずっと楽しめるからだ。

そんな白ボトルからスプレーすると、まず立ち上るのはスッキリした透明感あるスパイシー。ほのかなカルダモンの清涼感と爽やかなベルガモットの香りだ。このトップがとても心地よく、ピンクペッパーの酸味と辛みも感じられて絶妙のブレンドだ。

やがて5分もすると、カルダモンとベルガモットの下からココナッツのクリーミーな香り、エキゾティックなホワイトフラワーの香りがじわじわと出てくる。一番強く感じられるのはイランイランだ。イランイランの香りは低くて濃厚だけれど、ここではココナッツのまろやかなヴェールに包まれているせいか、とても穏やか。さらに似た系統のチュベローズの妖しさ、一段階高いジャスミンの柔らかな香りが出てきて、まさに南の島の楽園を思わせる風合いになってくる。

このミドルはザ・ボディショップから以前出ていたポリネシアン・アイランド・ティアレの香りに似ている。そう思ってつけ比べしてみた。ティアレの方はかなりよくできたタヒチアン・ティアレ風のオードトワレで、現在は廃盤になっているが再販を強く希望したい逸品。何しろ3000円前後でこのトムフォードのソレイユブランに引けをとらない香りを呈している。対するソレイユブランは50mlでその10倍近い価格だ。

つけ比べると、さすがトム・フォードというべきか。かなり好きだったザ・ボディショップのティアレは、エキゾティックな白い花の香りと共にどこか殺虫剤っぽいエアゾル系の匂いが感じられるのに対し、ソレイユブランのココナッツ&イランイランの香りはとてもまろやかで温かみすら感じられて好印象。ティアレの方には少し低音のプルメリア系の花も混じっているよう。対してソレイユブランは、イランイランとチュベローズのふくよかな白い花弁の香りがそこはかとなく煽情的だ。

付けて3時間もすると香りは薄らいでくる。値段が値段なだけに持続時間が短いように感じるが、ソレイユブランは人肌に溶け込こような香り方をするので自分で気付きにくいだけかもしれない。すれちがった人は灼けた肌から香るココナッツノートのふんわりしたミルキーな匂いを本人以上に感じやすいように思う。ラストはほの甘いアンバーとトンカビーン、そしてトップからずっと続くココナッツミルクの白いナッティーな香りをキープしたままドライダウン。

これは真昼の香りと謳っているけれど、実はリゾートホテルの夜の部屋の雰囲気も感じられるセンシュアルさも秘めている。

琥珀色のベッドサイドランプ。カーテンを開け放したラナイ。その向こうに広がるダイヤモンドヘッドの黒い稜線。オレンジ色の星々を思わせる街の夜景、ほの白く浮かび上がったキングサイズベッドのシーツ。そんな情景をも想像させる誘惑の香り。
真夏の太陽
だからソレイユブランをつけているとハワイに行きたくてたまらなくなる。あのまばゆい日差しと、汗をかかない爽やかな空気が恋しくなる。ビーチウォークの人々の笑顔と、オープンエアーのホテルロビーから見渡せる青い海に心がはやる。きっとソレイユブランは完璧なオフのための香りだ。人目を気にせず、童心にかえって、自然やリゾートで過ごす極上のリラグゼーションのための。

見上げればパームツリーが揺れている。吸い込まれそうな青空にソレイユブランが微笑んでいる。

香水のレビュー(満点は☆7)
☆☆☆☆☆★★(5点)
トムフォードの夏の香りといえば、このソレイユブランだ。ココナッツとヴァニラが効いていて、それでいてとても軽くてシャイニー。まさに夏の太陽を思わせる爽やかさだ。通常香水は香料を重ねていくと重たく複雑な香りになっていく。それをここまで軽やかにかつスッキリさせるというのは一種の腕だろう。ちなみにこのソレイユブランを自分で作ってみたくて、ふだんお世話になっている香水の先生のところへ出かけてココナッツノートをキーにした香水を作ってみたのだが、これほど軽やかにスッキリした香りにはならなかった。自分は桜餅の香りと俗にいうクマリンをオーバードーズ(過剰投与)したせいもある。いいイランイランとカルダモンの使い方がキーなのだろう。そう簡単に真似できるレシピではないようだ。夏が過ぎてなお、晴れてスッキリしたデイタイムにはついかいでみたくなる香り。空にはいつもまばゆい太陽が輝いている。


トムフォード TOM FORD ソレイユブラン オードパルファム スプレイ 2.5ml アトマイザー お試し 香水 ユニセックス 人気 ミニ【メール便送料無料】

価格:2,100円
(2019/9/29 22:00時点)
感想(12件)



ゲラン ジンジャーピカンテ

ジンジャーピカンテ 長く続いた雨があがると、都会はギラギラ照りつける真夏の太陽にまばゆく塗りかえられた。ビルの壁一面に取りつけた室外機が音を立ててフル回転し、熱風をまき散らし始める。あんなに雨の街にうんざりしていたのに人は勝手なものだ。蒸し暑い炎天下の街を歩いたらこの暑さにもすぐ辟易して、どこかカフェに寄って冷たい飲み物で喉を潤したくなった。

ゲランのジンジャーピカンテは、そんなときに飲みたいキリッとしたジンジャーエールの香りがする。

ジンジャーピカンテは、2019年6月にココナッツフィズと一緒に発売されたゲランのアクアアレゴリアシリーズ最新作。アクアアレゴリアは、1999年に4代目調香師ジャン・ポール・ゲランが自然の美しさと様々な天然素材へのオマージュとして誕生させたライトフレグランスのカテゴリで、今年20年目になる。その間、まるで季節限定品のようにたくさんの作品が登場し、消えていった。

20年という節目にあたって、ゲランはマスターパフューマ―のティエリー・ワッサーの名前ではなく、ラ・プティット・ローブ・ノワールのベース香料を作って大ヒットさせた女性調香師デルフィーネ・ジェルクの名をクレジットしている。蛇足だが、こんなふうに女性調香師の名をフロントに出すのはかつてのゲランでは考えられなかったことで、はなはだ隔世の感がある。

では、彼女が作ったジンジャーピカンテとはどんな香りなのか?

ジンジャーピカンテを1プッシュする。すぐにジンジャーの辛み、わずかなハニーの甘味、レモンやベルガモットのスッキリした酸味、ペッパーの乾いたスパイシーが渾然となって広がってきて、何とも言えず爽やかな気分になる。とても美味しそうな香料ばかりだ。それは、よく晴れた日にごくごくと喉を鳴らして飲むアイスレモンティーにすりおろしたジンジャーを入れたような風味。あるいは辛口ジンジャーエールにスライスレモンをたっぷり入れて、むせかえるような炭酸のスプラッシュを味わうような。

やがて5分ほどすると香りは柔らかく変化する。ジンジャーとシトラスの奥からしっとりしたローズが顔をのぞかせてくるからだ。みずみずしい朝露をのせた柔らかなローズ香が、ジンジャーの辛み、ペッパーのドライな風味と相まって心地よく広がってくる。そのブレンドの妙。

ここでローズが出てくるところがこの香水の最大のポイントだ。昨今、柔軟剤のように付けた瞬間からラストまで一本調子で変化のない香水が多い中、さすがゲラン帝国、ライトでみずみずしいアクアアレゴリアの最新作でも、香りが変化する楽しさをしっかりとアピールしている。

レモンの香りが次第に消失すると、ベルガモットの緑色の爽やかな香りにキリリと辛いジンジャーが寄り添いながら、ほの甘いローズがふんわり全体をまとめているようなミドル香になる。隠し味はわずかな蜜の甘さを伴うハニーか。そのコクのある味わいは夏の日に喉の渇きをいやす冷たい飲み物や氷菓を連想させるに十分だ。

出力は全体にやや弱め。1~3時間ほど穏やかに香るので、通常ウエストや内ももに香水を付けている方も、プッシュ数は増えると思う。最近のゲランの香水に対して、ティエリー・ワッサーが好むラストのホワイトムスクが苦手という方もいるようだが、ジンジャーピカンテのラストは爽やかな生姜の辛みとフェミニンなローズのミックスでフェードアウトするのでワッサー調とは異なる。スッキリしたエンディングで、夏以外にも使いやすく汎用性が高い香りだと思う。

価格は75mlボトルで8900円+税。昨今のラグジュアリーなニッチブランドの香水の値段を考えれば良心的な価格だ。同時発売されたベルガモットのボディローション(200mlで7500円+税)をシャワー後の全身にすりこんでからジンジャーピカンテを好きなところに重ねるミクソロジーが超おすすめだ。
ジンジャーアイスティー
真夏の強烈な日差しが降り注ぐ午後。ビルの谷を吹き抜ける熱風にやられ、いっときの涼を求めてカフェに入る。ひんやり乾いたクーラーの風に包まれ、ふーと息を吹き返す。冷たいジンジャーエールが運ばれてくる。ストローを寄せてゴクリとひと口すする。その瞬間カラカランと冷たい氷の音とともに口の中いっぱいに広がる甘酸っぱくてキリッとした辛みに、心と体から余計な力が抜けてゆく。

並木通りの緑がウィンドウの向こうでまばゆい光を浴びている。店内にはボッサの緩やかなリズムが流れている。まるでカリブの島に来たような気分でジンジャーとレモンの香りに包まれるリラグゼーション。店内に一輪挿しの夏薔薇の香りがほのかに漂っている。

シュワシュワはじける炭酸の泡から立ちのぼる、ピリッと辛いジンジャーと甘酸っぱいレモンの香りにほっとするひととき。ジンジャーピカンテの夏。

香水のレビュー(満点は☆7)
☆☆☆☆☆★★(5点)
2019年夏、ゲランカウンターに立ち寄ることが多かった。どこに寄っても、新作のジンジャーピカンテとココナッツフィズをおすすめされた。総じてゲランの店員さんの応対は優しくて丁寧で心地よかった。2つを比べるとどうしてもトップの爽やかなジンジャーレモンティーっぽさに惹かれて「やっぱジンジャーピカンテの方がいいなあ」と思ってしまい、必然そんなに高くないし、ミドルでふんわりローズも出てくるし、夏以外でも使えそうという感じでジンジャーピカンテをセレクトしている方が多かったように思う。売り方、上手いなあと何だか感心してしまった。ジンジャーピカンテは、実はよくあるタイプの香り。爽やかレモンティーに一輪の薔薇。ただそのバランスがすごくいい。重ね付け用シングルノートや最初から最後まで香りが変わらないシンクロノート全盛のこの時代に、手頃ながらピラミッドタイプの3段階変化をしっかり持っているのは技術と香料のよさの成せるわざ。改めて老舗ゲランはまだまだ香水界名門の矜持を保っているように感じた。秋から冬も使えるジンジャーピカンテ。一度試してみてほしい。


【定形外 送料無料】ゲラン アクア アレゴリア ジンジャー ピカンテ 75ml -GUERLAIN-【定形外対象商品】

価格:10,600円
(2019/9/29 16:12時点)
感想(0件)


夏とサンダルとビーチウォーク ~メゾン・マルジェラ ビーチウォーク~

ビーチウォーク Y美は悲しんだ。足の親指の爪を切っていたら途中で爪が割れた。これからサンダルのシーズンなのに。そう思って舌打ちした。同時に、30代半ばに差しかかって爪も硬くなってきたことを思い知らされ、はぁーとため息をついた。

マンションの窓の外は今日も曇り。もう何日もこんな天気が続いている。せっかくきれいにペディキュアを塗って、今年の夏用サンダルを買いにいこうと思っていたのに。テレビの天気予報は南から太平洋高気圧が張り出してきたと告げている。明日からはやっと夏の陽射しだそうだ。昔付き合っていたサーファーの彼が、いつも天気図とにらめっこしていたことを思い出した。

仕方ない、今日はやめた。ボサボサの髪を後ろでまとめて手早く準備すると、厚底スニーカーを引っかけて肌寒い曇天の街に出た。

デパートをぶらぶらしてメゾンマルジェラの前を通ったときだ。不意に懐かしいような香りがして足を止めた。香水だ。その匂いにつられて中に入った。レプリカ?店員が寄ってこなかったので、いくつかボトルを鼻に近づけてみた。多分これ。そう思ったボトルがドンピシャだった。「ビーチウォーク・オードトワレ」。左手首の内側にスプレーしてみた。とたんに甘いフローラルとココナッツのこんもりした香りが明るく広がった。

懐かしい香り。何だろう?香料表記を調べてみる。

トップ:ベルガモット、ピンクペッパー、レモン
ミドル:イランイラン、ヘリオトロープ、ココナッツミルク
ベース:ムスク、シダー、ベンゾイン

あーそうか、ココナッツが入ってるからだ!一瞬で20代の夏にフラッシュバックする。大学の頃につきあっていたサーファーの彼、その精悍な横顔と焼けたアンバーな肌を思い出す。そして彼が吸っていたパチパチ燃えるような甘いタバコの匂い。夏のビーチはいつもサンオイルや日焼け止めのココナッツの香りがしていた。

ビーチウォークのシリンダーボトルを手に取ってまじまじと見る。キャップはなくて銀のスプレーノズルは小さめ、何だかレトロでセンスがいい。スプレー下には硬いコットンの紐が巻き付けられ、ラベルも布だ。メゾンマルジェラといえば、奇抜な服とか数字を羅列した取れやすいタグのついたブランドくらいの認識しかなかったけれど、デザイナーがジョン・ガリアーノになってからはかなり洗練されてきたと聞いたことがある。ビーチウォークの布タグには、まるで出荷時のチェックステッカーのように作品名や起源となった場所、時期、香りの簡単な説明が記されている。それもわざわざタイプライター打ちしたような簡素で味気ない風情で。

そのラベルには「1972年(フランス領コルシカ島の)カルヴィにて」と記され、香りのイメージは“Sun kissed salty skin”と書いてあった。ああ、何となくわかる。そう思った。ビーチで彼の隣に寄り添うと、パンパンに張った上腕二頭筋がちょうど自分の頬のあたりに来て、ふざけてよくそこにキスしたりかじったりする真似をしたものだ。そのときのしょっぱい味、どこか焦げたようなクリーミーな匂いを思い出してちょっと切なくなった。

彼のライディングをいつも砂浜から見ていた。朝から夕暮れまでずっと。ビーチウォークのしっとりしたイランイランの香りは、あの夏のエキゾティックなムードそのものだ。真夏の太陽の下、時折火照った肌を冷やすために、彼と手をつないで海に入った。見上げた空のまばゆさに、腰まで浸かった深いブルーの海の色に心がときめいていた。トンカビーンの甘さとクリーミーなココナッツの香りがそんな思い出を優しく漂白してゆく。甘く狂おしい夏の日の記憶…。

「いかがですか?こちらルイ・ヴィトンの調香師になったジャック・キャバリエが、92年にメゾン・マルジェラのために作った作品なんですよー♪」

不意に店員に話しかけられて固まった。すぐさま愛想笑いだけ返して、Y美はそそくさとその場を後にした。

ムンとする曇天模様の街。行き過ぎる人の波。いつからだろう?夏になっても海に行かなくなったのは。季節はめぐり、人も巡った。ショーウィンドーに映った自分は、もうビキニの似合う年齢でも顔でもなかった。手首につけたビーチウォークはずっと変わらず、ふんわりとココナッツ&イランイランの香りを漂わせている。あの頃、ひと夏のほとんどを海で一緒に過ごした仲間たちの小麦色の肌と白い歯が、波の音とともによみがえる。
あの夏、ビーチで
明日晴れたら、電車を乗り継いで久々にあの海に行ってみようか。ただ波打ち際を歩いてみるだけでいい。ビーチウォークの香りに包まれていたら、キラキラと明滅する波と青い潮風に久しぶりに会いたくなった。

うん。じゃその前にやっぱり夏用サンダル買わなくっちゃ。


End

メゾン マルジェラ Maison Margiela レプリカ ビーチ ウォーク オードトワレ 1.5ml アトマイザー お試し 香水 メンズ レディース ユニセックス 人気 ミニ【メール便送料無料】

価格:700円
(2019/9/29 15:49時点)
感想(4件)



トム・フォード ロストチェリー

ロストチェリー 秘密。だれにも言えない秘密。大人が教えてくれなかった事実。大人になるために最も知りたかった事実。

快感。だれにも言えない快感。母のルージュをそっとひいた日の、何かいけないことをしてしているという甘美な記憶。あるいは女性の裸体に初めて硬直した少年の、絶対に親に知られてはいけないと感じた背徳の記憶。触れてはいけないところにさわったやましさ。

トム・フォードのロストチェリーは、そんな香りがする。

桜の香りがするトップは幼い日のノスタルジー。どこまでも甘美でキュートなチェリーシロップの香りが心を鷲掴みにして離さない。離れない。

次第に鼻腔の奥をツンと刺激するシニカルなアーモンドの苦みが訪れてミドル。ピュアなくせにギリギリするほど苦々しい。それは思春期の葛藤をフラッシュバックさせる香り。

ある日突然、胸をときめかせる人が現れたときの戸惑い、高揚感。鏡を見て自分の容姿に落ち込み、その顔をにらみ、変えられない顔に悲観し、せめてと思い髪をいじり、何度も髪を濡らしてはブローした日。ガラスのように壊れやすく、うすっぺらな自我に固執した思春期。青臭くて一人じゃ何もできないくせに大人にもなりきれず、不平不満を周囲にぶちまけ、毒づくことで己のレゾンデートルをわずかに保ち、自分も周囲も大嫌いで、自分の弱さを繕うために他者をあざ笑い、蹴落とし、心の中で全てを否定する。浅はかで脆弱な魂の彷徨。

けれどある日。そんな自分がなぜ生まれて来たのかを知る。どんなふうに命が紡がれてきたのかを知る。思いと肌を重ねることで言葉以上に感じ合えるものがあることを知る日が来る。信じ合えるもの、信じられないものの境界があること、快感と痛み、快楽と苦痛の狭間でスパイラルにのぼりつめる狂気があること、全ての生命の営みの輪の中に自分もいたこと、己の欲望に忠実に体が反応すること、そして心は身体の快楽に勝てないこと。それらを思い知る日が来る。人間の業。

ロストチェリーはそんな香りがする。

幼年期のチェリーの甘さ、思春期のアーモンドビター、そこに絡むシナモンの誘惑に身悶えし、ローストトンカの人肌の匂いに酔いしれてゆく。ラストに感じられるわずかなヴァニラは昨日までの自分との決別。ほろ苦く甘い、もう戻れない白い朝の追憶。

それは通過儀礼。大人になるための痛み。少年少女との決別。小さな世界の喪失。広大な世界への不安。自分の中のエロスに気付く日。異性を誘う自分の秘密の匂いを知る日。しっとりと濡れたシロップの誘惑に、あくなき生と性の悦びをかいま見る日。自分の価値が揺らぐ日。自分の武器に気付く日。

その日を夢見ていたわけではない。その日を待ち望んでいたわけではない。ただある種のノスタルジーと悲しみは、小さな頃からずっと自分の中にあった。父と結ばれたいのに、母と同化したいのに、どこか拒絶された単体として存在しているちっぽけで儚い自分。その理由を知った日。

汚れた血。純潔な血。自分の中の不道徳を知る日。自分の中の清らかさを思う日。それでも唇をきゅっと結んで髪をかき上げて、さも何事もなかったかのように風の中を歩く日。何かを捨てたようで、何かに見捨てられたようで、全てを知った気になって、この感じを知らなかった自分を深い海に沈める日。

すれ違いざま、オヤジどもがなぜ濁った眼で自分をじろじろ見るのか、なぜ電車の中で痴漢されるのか、なぜこのロストチェリーが2~3時間しかもたないのに3.5万円もするのか、そしてなぜこれまでになく売れているのか。その秘密を知る日。それは性が媚薬だからだ。愛情同様、性に困窮している餓鬼亡者が世界中にあふれているからだ。チェリー

こ うならなくてもよかった。知らなくても生きられた。けれど知ってしまった。もはや永遠に心を奪われ、性の呪縛に囚われ、甘美な悦びに身悶えし、ときに燃えさかる業火のように嫉妬で相手を焼き尽くす。それは諸悪の根源。心の足かせ。神の手から最も遠い場所にあるダーククリスタル。仮面をつけて微笑み、仮面の下で己の外道を飼いならし、雑踏の中、風を切って歩き始めるために失ったヴァージニティー。SEXは甘く、かぐわしく、どこまでも心をとらえるけれど、その快感と感動は一瞬。あとに残る寂莫とした思い、荒涼とした大地にただ一人残された孤独。それらと向き合うことをたたきつけられ、人は自分の中の獣を知る。それでもまた、自分だけのチェリーを探し求めてこの世界をさすらう。

天使のように甘く、悪魔のように苦々しい。少女のようにほほえましく、遊女のように猥雑に誘う。チェリーボムはかじられた。したたる果汁は大人味のダークブラッド。

その血を煮詰めた背徳の香り、ロストチェリー。

香水のレビュー(満点は☆7)
☆☆☆☆☆★★(5点)
人は喪失と再生を繰り返して大人になる。個人的には☆7にしてもいい香り。ただやはりプライベートブレンドは、重ね付けが基本になっているのでどこまでも自分の中では「一つの部品」だと思っている。そういう意味でPBのシングルノートは香水の完成度的には未完成だ。ロストチェリーは、PBの中では断トツに好きな香りの部類で、単品づかいでももちろんいいけれど、ジャスミンルージュやヴァニラファタールあたりとレイヤーすると悶絶する。「生」のうちに「性」が宿っていることを実感する香り。魔性のように。


トム フォード TOM FORD ロスト チェリー オード パルファム EDP SP 50ml 【香水】【激安セール】【あす楽】【送料無料】【割引クーポンあり】

価格:29,030円
(2019/9/23 08:05時点)
感想(0件)



≪前のページ≪   1ページ/54ページ   ≫次のページ≫